蜘蛛の糸

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少し前になるのですが、ある週刊誌に
「チベットを売る」というタイトルの記事を見つけました。
読んでみると、その記事の最後の方に
「英国は支那(中国)があり余ったドルで経済危機を救ってくれる条件で
『支那(中国)のチベット領有』を公式に認めた」
とありました。
(ある週刊誌→週刊新潮のことです)

歴史的にどう見ても、全く違った文化の発展を遂げてきたチベットを
中国が武力で侵略し、寺院や仏像を壊すだけでなく、
120万人とも言われるチベット人を中国が虐殺してきた事実は、
去年の北京オリンピックで、世界中に明らかになったことでした。

(現在のチベットの詳しい状況はこちらをご覧ください。)

あまり詳しいことは、私もよくわからない部分も多いのですが、
その時、フランスを始めとした、ヨーロッパ諸国は
中国のチベット問題に、大きな反対の声をあげていたはずでは…、
と思ったのですが。。。

それが、急激な経済状況の悪化が起こり、
チベットに比べれば、はるかに豊かな自国の生活レベルが
少しばかり不安定になってくると、その生活を守るために、
いままで反対し続けていたはずの、中国のチベット領有を
公式に認めてしまった、ということなのでしょうか。

そんな話を聞いて、ふと頭をよぎったのは
芥川龍之介の「蜘蛛の糸」のお話でした。

とても有名なお話なので、今更ここに書くこともないと思うのですが、
いちおうかいつまんで、書いておきます。

ある日の朝、お釈迦様は極楽の蓮池から、はるか下の地獄を覗き、
地獄の罪人のカンダタを見つけました。
カンダタは生前、さんざんな悪事を働いてきたので、
地獄に落とされ苦しんでいたのです。
でも、そんな極悪非道のカンダタも、たった一度だけ、
自分が踏みつけそうになった小さな蜘蛛を助けたことがありました。
お釈迦様は、そんなカンダタに情けをかけ、
カンダタに地獄から極楽への道を案内するためのチャンスを与えようと、
一本の蜘蛛の糸を、カンダタの前に下ろしました。
それを見つけたカンダタは、細い蜘蛛の糸をつたって登り始めました。
しかし、しばらくして下を見ると、そこには数限りない地獄の住人達が
下から続いてきます。
それを見たカンダタは、この蜘蛛の糸が切れてしまうことを恐れて
「この蜘蛛の糸は俺のものだ。お前達は一体誰に聞いて上ってきた。
下りろ、下りろ」と喚いたのです。
その途端に、その蜘蛛の糸は、カンダタのぶら下がっているところから
プッツンと切れてしまい、カンダタもろとも、
地獄へと逆戻りしてしまったというお話です。


この蜘蛛の糸のお話と、今回のイギリスのお話では、
いろんな条件が違ってくるので、同じにしては申し訳ないかもしれないのですが、
でも、自分だけが助かりたいために、
他の苦しんでいる人たちを見捨ててしまおうとする心の働きに、
なんとなく共通するものを感じてしまいました。

この蜘蛛の糸のお話は、芥川龍之介が作ったものですが、
でも、このお話を読んでいると、
どんなに酷い悪事を働き続けていた魂であろうと、
少しでも善の心があれば、菩薩や如来と呼ばれる方々は
その苦しみから解放されるチャンスを
常に与えようとしてくれているのではと感じます。

そのチャンスを生かすことができる方法は、
やはり、自分だけではなく、他の魂の苦しみを理解し、
苦しみからは一緒に解放されることを願い、
自分のなかに歓びがあれば、それはみんなで分かち合うことを願う
心の働きなのかなと、そんな風に感じるのでした。

でも、その逆のことをしてしまうと、
他の魂が苦しみから解放されないどころか、自分自身さえもまた、
苦しみの世界に戻ってしまうということにもなってしまうのだと、
同時にそんな風にも感じてしまうのでした。


今日は、少し批判的で暗い話になってしまいました。
にもかかわらず、ここまで読んでいただいてありがとうございます。

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Comments 2

sato  

紙芝居

蜘蛛の糸、この話
小学生のころ神社で紙芝居で見ました
おくの深い話だったんですね
この時代にも甦ってほしいものです。

2009/01/29 (Thu) 01:48 | EDIT | REPLY |   

緋彌華  

>satoさん

>satoさん、こんにちは♪
私は、蜘蛛の糸のお話は、小学校の時の
教科書に載っていたように記憶しています。
この話の元になっているのが、
鈴木大拙による「因果の小車」
(ポール・ケーラス作「カルマ」の邦訳)
というものらしく、
タイトルしかわかりませんが、
なんとなく仏教的なお話のような雰囲気ですよね。

2009/01/29 (Thu) 21:53 | EDIT | REPLY |   

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